ナノレベルで「色の真価」を引き出す、独自の分散テクノロジー
塗料の美しさと機能の鍵を握るのが「分散」です。当社では、顔料粒子を一次粒子レベルまで解きほぐす高度な解砕技術と、再凝集を防ぐ精密な安定化技術を確立。最新のビーズミルと科学的知見に基づいた運転管理により、塗膜の光沢、隠蔽力、耐久性を最大限に高めています。
1.分散の目的と達成度
・顔料凝集体の完全な解砕と湿潤
分散の第一の目的は、原料である顔料の凝集体(アグロメレート)を機械的に破壊し、元の一次粒子レベルまで解きほぐすことです。解砕と同時に、顔料粒子の表面を樹脂(バインダー)や溶剤で完全に覆い(湿潤)、再凝集を防ぐ安定な状態(ミルベース)を作り上げることです。
・目標粒度(粒径)の達成
塗料の種類や用途に応じて設定された目標粒度(粒径)を定めており、分散機の時間や回転数などの管理を徹底して安定した分散を実施しています。粒度が大きすぎると、塗膜の光沢低下、隠蔽力不足、沈降などの不具合が生じます。グラインドゲージなどを用いて、分散完了の度合いを定期的に確認し、基準をクリアするまで分散を続けています。
2.設備の選定と運転管理
・分散機(ミル)の適切な選定
高粘度・高濃度なペーストを効率よく処理するためには、高速分散機(ディスパー)での初期プレミックス(前練り)後、サンドミル(ビーズミル)、ボールミルなど、顔料の種類や硬さに合わせた最適な分散機を選定しています。特に高性能な塗料では、ガラスビーズやジルコニアビーズなど、メディア(ビーズ)径の小さいナノレベル対応のミルを使用し、微細な分散を可能にしています。
・分散条件の最適化
分散機の運転条件(メディアの充填率、ビーズ径、回転速度、流量)を、対象とする原料の特性(粘度、硬さ)に応じて科学的に最適化し、安定した分散品質と高い生産効率を両立させることに注力しこだわりを持っているのが当社の分散技術力です。特に、分散エネルギー(投入電力)を精密に測定し、必要最低限のエネルギーで目標粒度を達成する条件を見つけ出すことが、分散時間コストや環境コスト削減と品質の安定に直結します。このエネルギー削減の取り組みは、電力使用に伴うGHG(温室効果ガス)排出量の削減にも直結し、環境負荷の低減と持続可能な製造プロセスの実現に貢献します。
3.品質とプロセスの監視
・温度管理の徹底
分散プロセス中に発生する熱によって、樹脂がゲル化したり、溶剤が揮発したり、添加剤の性能が低下したりするのを防ぐため、チラー水による効率的な冷却で分散温度を厳密に管理しています。
・インラインでの品質モニタリング
分散機の排出ラインにインラインセンサーを導入し、分散中の温度分布をリアルタイムで監視しています。また粒度分布や粘度変化などの管理を徹底しています。目標値に近づいた段階で自動的に工程を完了させる、エンドポイント制御の実現が理想的です。
・分散安定剤(添加剤)の活用
分散工程の初期段階で、分散剤・湿潤剤といった特殊な添加剤を適切に配合し、顔料粒子一つ一つが電気的反発力によって再凝集しないよう安定化させる技術開発に注力しています。
4.生産性と保守管理
・コンタミネーション(異物混入)の防止
分散機の洗浄手順を標準化し、特に色替えの際などに、前ロットの顔料が残るコンタミ(異物混入)を徹底的に防止することに注力しています。
・メディア(ビーズ)の管理と交換
サンドミルなどで使用するビーズ(メディア)は摩耗するため、分散効率の低下を防ぐべく、定期的な点検と交換を実施しています。摩耗したビーズが塗料に入り込むことも徹底的防止管理に取り組んでおります。
・レシピと実績のデータ化
分散時間、温度、投入エネルギー、最終粒度といった分散に関する全データを、ロットごとにシステムに記録し、製造履歴(トレーサビリティ)として保持しています。このデータは、品質トラブル時の原因究明や、新規製品開発時の条件設定に活用しています。

