⑧FT-IR分光光度計

塗料の「成分」と「化学構造」を解析する

塗料の性能や機能は、それを構成する樹脂、顔料、添加剤といった化学物質の分子構造によって決まります。「FT-IR分光光度計(フーリエ変換赤外分光光度計)」は、塗料の開発、品質管理、そしてトラブルシューティングにおいて、塗膜や液状塗料の化学成分を特定し、その構造変化を解析するために不可欠な装置です。

FT-IR分光光度計の原理と役割:分子の「指紋」を読み取る

FT-IR分光光度計は、物質に赤外線を照射し、物質中の分子が特定の波長の赤外線をどの程度吸収するかを測定する装置です。

FT-IR分光光度計

1.成分の特定(定性分析)

物質中の化学結合(例:C-H、O-H、C=O結合など)は、それぞれ固有の波長で赤外線を吸収します。FT-IR分光光度計で得られた吸収スペクトル(波形のパターン)は、物質固有の「分子の指紋」として機能し、その塗料がどのような樹脂や添加剤で構成されているかを瞬時に特定できます。

2.化学構造の変化解析

塗料の硬化(乾燥)や経年劣化の過程では、分子レベルで化学結合が変化(架橋、酸化など)します。FT-IR分光光度計は、この結合の変化に伴う吸収パターンの変化を捉えることで、塗膜が設計通りに硬化したか、あるいはどのように劣化が進んでいるかを科学的に解明します。

開発・品質管理での貢献

・新規原料・配合成分の分析

塗料の設計や、あるいは劣化塗膜の分析調査において、主成分から添加剤の種類や構造を正確に把握することは、その知見を次世代の確かな製品開発へと繋げる鍵となります。

・塗膜の硬化・劣化状態の確認

形成された塗膜の成分状態や、各種試験後の構造変化を分析することで、設計通りの性能が発揮されているかを確認し、耐久性の向上や最適な配合設計のためのデータを提供します。

品質管理・信頼性向上における活用

1.迅速な異物分析・原因究明(現場サポート)

塗膜に異物や不具合が発生した際、FT-IRによる高度な分析が最大の威力を発揮します。欠陥の原因が「塗料由来」のものか、「外部からの汚染(例:油分、別塗料の混入など)」によるものかを迅速かつ正確に特定し、お客様の速やかな問題解決と確実な再発防止策の立案に貢献します。

2.品質保証を裏付ける成分検証

安定した製品をお届けするための品質管理プロセスにおいてもFT-IRを活用しています。原材料の組成確認や、必要に応じた製品の成分検証を行うことで、万全の品質保証体制を科学的なデータで裏付けています。

※当社では、この「FT-IR分光光度計」を駆使し、塗料の「見えない化学」を精密に制御することで、お客様に高性能で信頼性の高い製品をお届けしています。