⑯オートグラフ(引張試験機)

塗膜の「強さ」と「しなやかさ」を数値化する

塗料が乾燥・硬化してできる塗膜は、その製品が最終的に要求される耐久性や信頼性を担う重要な層です。「オートグラフ(引張試験機)」は、塗膜の基本的な機械的強度、すなわち「強さ」と「しなやかさ」を客観的な数値で評価するために不可欠な試験機です。

オートグラフの役割と評価項目

オートグラフは、塗膜の試験片を両端から一定の速度で引っ張り、その際に発生する「力(荷重)」と「伸び(ひずみ)」の関係をグラフ(オートグラフ)として自動記録します。このデータから、以下の重要な塗膜物性を測定します。

オートグラフ(引張試験機)

1.引張強さ(最大荷重)

塗膜が破断するまでに耐えられた最大の力を測定します。この値が高いほど、塗膜は強い、つまり外部からの力に対して高い抵抗力を持っていることを示します。これは、耐衝撃性や塗膜の耐久性の重要な指標となります。

2.伸び率(破断ひずみ)

塗膜が破断するまでにどれだけ伸びたかを測定します。伸び率が高いほど、塗膜はしなやかで柔軟性があることを示します。これは、塗装対象が温度変化や振動で変形した際に、塗膜が追従してひび割れ(クラック)や剥離を起こしにくい性質(耐クラック性)を確保するために重要です。

3.弾性率(ヤング率)

塗膜の変形のしにくさ(剛性)を数値化します。この値が高いほど、塗膜は変形しにくく硬いことを意味します。

開発・品質管理への貢献

・性能バランスの最適化

塗料の開発において、「高強度だが脆い」または「柔らかいが強度が低い」といった偏りを避け、強度と柔軟性の最適なバランスを持つ配合を、オートグラフのデータに基づいて設計します。

・低温環境への対応

低温下では多くの塗膜が硬く脆くなります。低温環境下での引張試験を行うことで、寒冷地や冬場でも塗膜の追従性が保たれるかを検証し、製品の信頼性を高めます。

・製品ロットの品質管理

製造ロットごとに、塗膜の機械的強度が設定された基準値(例:引張強さ 50MPa以上、伸び率10%以上)を確実に満たしているかをチェックし、安定した耐久性を確認します。

※当社では、この「オートグラフ」による精密な引張試験を通じて、塗膜が確実に機能するための高い信頼性を立証しています。