カラーワンダーランド

カラーセンターイメージ

色は、光と角度で表情を変える。 ── 色彩の深淵に触れる、体験型インテリジェンス拠点

塗料という「モノ」をつくる会社であるイサム塗料が、その先にある「色の見え方」という複雑な現象に挑んだ場所。それが滋賀・塗装技術センター内に設置された「カラーワンダーランド」です。 色彩は、見る環境や角度によって刻一刻と変化します。私たちは、この感覚的な変化をテクニカルに解明し、体験できる空間を創造しました。ここは、塗料のプロフェッショナルが色の真実を学び、感性を研ぎ澄ますための情報発信基地です。

1.鮮やかな77枚のカーシェープが描く、光と影のドラマ

一歩足を踏み入れると、デザイン性に満ちた空間に77枚のカーシェープ(車体形状の模型)が整然と並びます。それぞれの造形に施された多彩なカラーリングは、専用のスポットライトを浴びることで、見る角度により劇的に明度が変化する「フリップフロップ現象」を鮮明に描き出します。塗膜が持つ立体的な意匠性を多角的に検証し、色の奥深さを視覚的に体感できる、圧巻の展示エリアです。

2.光源が支配する色彩の真実 ── メタメリズムの検証

同じ色のはずが、場所が変わると違って見える。この「メタメリズム(条件等色)」の謎を解き明かすため、施設内には5種類の人工光源(太陽光・夕日の光・水銀灯・蛍光灯・LED)を完備しています。光源ごとに色がどう裏切られ、どう変化するのかを直接比較。厳しいプロの眼に応えるカラーマッチングの教育施設として、妥協のない色彩管理の重要性を学ぶことができます。

3.感性を研ぎ澄まし、技術を次世代へ

カラーワンダーランドは、単なる見学施設ではありません。イサム塗料が長年培ってきた色彩技術の粋を集め、次世代の技術者たちに「正しい色の見え方」を伝承するための学び舎でもあります。色彩という形のないものを、論理と体験で理解する。この場所から生まれる鋭い感性が、自動車補修をはじめとするあらゆる塗装現場の品質へと還元されていくのです。

カラーワンダーランドの体感装置

「メタリック・パール色用 目視評価ボックス」(多角視野色評価装置)

この装置の主な目的は、「見る角度によって色が変化する塗料(メタリックやパール)」を、正しい光源と決まった角度で目視判定することです。

・多角度評価(フリップフロップ性の確認): メタリック塗料(アルミ片入り)やパール塗料(雲母入り)は、正面から見た時と、斜め(スカシ)から見た時で色や明るさが変わります。これを「フリップフロップ現象」と呼びます。この装置は、右側の「ANGLE」ダイヤルを回すことで、光源やサンプルの角度を変え、特定の角度(例:15度、45度、110度など)での色の見え方を正確にチェックするために使用します。

・新車の色の配合データ作成: 自動車メーカーから発売された新車の色を再現するために、原色を混ぜ合わせて配合(レシピ)を作ります。その際、単に正面の色が合っているだけでなく、「正面」「斜め45度」「極端な斜め(シェード)」のすべての角度で、実車と塗料の色・粒子の輝き方が合っているかを確認します。

・「塗り方」による色ブレの検証: メタリック塗料は、スプレーガンの距離や動かすスピード、塗装回数によって、アルミ粒子の並び方が変わり、色が大きく変わってしまいます。 カラーセンターの技術者は、わざと塗り方を変えたテストピース(塗り板)をこのボックスに入れ、「現場の塗装職人が少し塗り方を変えてしまった場合に、どの角度の色がどうズレるか」という特性データを取得します。

・メタメリズム(条件等色)のチェック: 「塗装ブースの中では色が合っているのに、外で見ると色が違う」という現象(メタメリズム)が起きないよう、このボックス内の標準光源を使って、厳密な色のチェックを行います。

この装置は、「どんな角度から見ても、どんな光の下でも、実車と同じに見える完璧な配合データ」を作るため、そして「塗り方による色の変化特性」を分析するために、プロ中のプロが使う精密な「目」の役割を果たす装置です。

「標準光源ブース(カラービューイングブース)」

この装置の目的は、「天候や時間帯、屋内の照明環境に左右されず、常に一定の『正しい光』の下で色を比較・判定すること」です。

当社カラーセンターでは、具体的に以下の3つの重要な目的で使用されます。

1.異なる光源下での「色の見え方」のチェック(メタメリズム対策)
これがこの装置の最大の役割です。 ある照明(例えば太陽光)の下では同じ色に見えるのに、別の照明(例えば店舗の光源ライト)の下では色が違って見える現象を「メタメリズム(条件等色)」と呼びます。 自動車補修では、「外で見たら色が合っていたのに、夜ガソリンスタンドの水銀灯の下で見たら色がズレていた」というクレームを防ぐ必要があります。
この装置はボタン一つで以下の光源を切り替え、すべての環境下で色が合っているかを確認します。

Daylight (D65)

Daylight (D65)
平均的な昼光(正午の北窓の光)。
基本の基準光。

Horizon

Horizon
日の出や日没時の赤みを帯びた太陽光。

Cool White / TL84

Cool White / TL84
店舗やオフィスで使われる光源ライト。

A (Incandescent)

A (Incandescent)
白熱電球(家庭の照明やショールーム)。

2. 蛍光成分のチェック(UVランプの使用)
UV(紫外線のみ)を照射することも可能です。 ホワイトパールなどの塗料には、白さを際立たせるために「蛍光増白剤」が含まれていることがあります。UVライトを当てることで、見本と調色した塗料の蛍光剤の効き具合が合っているかを目視で確認します。

3.外部環境を遮断した公平なジャッジ
装置の内側は、光の反射や周囲の色の影響を受けない「マンセルN7」という特定のニュートラルグレー(無彩色)で塗装されています。 これにより、検査員の服の色や、部屋の壁の色などの映り込みを排除し、純粋に「塗料の色」だけを評価できる環境を作っています。

「メタリック・パール色用 目視評価ボックス」(多角視野色評価装置)との使い分け

カラーセンターでは、この2台を以下のように使い分けています。

・「メタリック・パール色用 目視評価ボックス」(多角視野色評価装置)
「角度による色の変化(メタリックのキラキラ感や正面・斜めの色差)」を厳密に見るための装置。

・「標準光源ブース(カラービューイングブース)」
「光源による色の変化(メタメリズム)」や、全体的な色の相違を広い視野で確認するための装置。

両方の装置で合格して初めて、その塗料の配合データは「プロの基準を満たした」としてリリースされます。
まさに色の番人のための設備と言えます。

カラーワンダーランド(いろいろな光)

カラーワンダーランド(いろいろな光)

左から「晴天時の太陽光(正午)」色温度6500K、「夕日の光」色温度2500K、「水銀灯(ガソリンスタンド等)」色温度4100K、「LEDランプ」LED温度5000K の4種類の光源による色の見え方を体感いただけます。

晴天時の太陽光(正午)

晴天時の太陽光(正午)
色温度6500K

「夕日の光」

「夕日の光」
色温度2500K

「水銀灯(ガソリンスタンド等)」

「水銀灯(ガソリンスタンド等)」
色温度4100K

「LEDランプ」

「LEDランプ」
LED温度5000K

ぜひ、滋賀工場へお越しの際は、「カラーワンダーランド」をご体感ください。